第二弾はドイツ空軍戦闘機の代表格
メッサーシュミットBf109G-6がお題です。
第二弾は 1/72スケール メッサーシュミットBf 109 G-6
(1)コックピット組み立て、塗装 (4)デカール貼り
(2)胴体組み立て、各種ディテールアップ (5)ウェザリング、最終組み立て 
(3)塗装   (3)a 塗装補足(塗りなおし) (6)完成                 

使用キット
■FL8 メッサーシュミットBf 109 G-6 税込¥2,310
■AA43 Bf 109アクセサリーセット2 税込¥1,365
このキットについて
メッサーシュミットBf109シリーズは、ファインモールドの航空機キットの中では3D-CADを使って設計された最初期のキット。
当時使ってた3D-CADは融通があまり利かなくて設計に難儀したとか。そのため一部、原型を作って手作業で進めたところもあったり。

でも、さすがは3D-CAD、このキットの頃から飛躍的にパーツの合わせ精度が向上した
はず
だから、一部のお客さんから当社のBf109は凄く組み易いとお褒めいただいたことも(ありがとうございます)。
しかし、ファインモールドの中でも、いま一つマイナーなのは何故なんでしょう?…営業の責任ですね。ハイ

工場長にBf109の設計時の事を聞いてみたら、エンジンの再現などもあったので、とにかくシャープに、かつイメージを崩さないように気をつけたとのこと。
それと、ドイツ機というとドイツ精密工業製品らしく、理詰めで設計されていると思いきや、設計者の感性が多分に活用されて設計されているんだ。と感じたらしいです。

今回はレシプロ機大好きの職人Nに作ってもらいました。職人気質な職人Nの作例なので、前回とうって変わり、
今回はちょっとスパルタンな作例になるかも知れません。解説文も職人Nによるものです。
なお、作例はG-6ですが、Bf109の他型式と共通する部分も多いので、他型式作成の際にもご参考にしてください。
(1)コックピット組み立て、塗装
まずはコックピットに組み込むエッチングパーツの組み立てから行います。エッチングパーツは別売りの純正パーツを使用。
そのため、まずプラパーツ計器盤のモールドをサンドペーパーで削っておきます。
指で押さえてペーパー掛けすると平面にならないことが多いので、ピンセットを使いペーパー掛けをしています。ただ、ピンセットでパーツを掴むときは飛ばすことのないように注意してください。
エッチングパーツの切り出しはデザインナイフで行いますが、すぐに切れなくなるため、こまめに新品の刃に交換しながら作業しないとパーツ破損の原因となります。刃を引いて切るのではなく押し切るように切る方が切りやすいでしょう。
↑エッチングパーツ取付後 ←エッチングパーツ取付前


コックピットはシートベルトのエッチングパーツを使用することで随分と精密になります。
シートの縁は金ヤスリ、サンドペーパーを用いて薄くすると雰囲気がでます。
シートベルトはピンセットを使って合わせていきます。シートにフィットしたらゼリー状瞬間接着剤を極少量、爪楊枝ですくって点付けします。
フットペダルは精密な曲げ加工が必要になりますが、完成後は見えづらい箇所のため、特にこだわらなければ無理に取り付けなくともよいと思います。


純正エッチングパーツをすべて使用したコックピット。
計器盤、シートベルト、フットペダル、操作ハンドルが純正エッチングパーツです。
コックピットは全面をブラックグレーでエアブラシ塗装後、細部をエナメル塗料で筆塗りします。計器盤は塗装で仕上げてもよいですが、今回はデカール仕上げで行っています。計器盤モールドの凹凸に密着させるためにマークソフター(デカール軟化剤)を使用します。
(2)胴体組み立て、各種ディテールアップ.1

キャノピーは枠を塗り分けるためにマスキング後に塗装します。マスキングテープの細切を使用する方法が割と一般的ですが、セロハンテープをキャノピーに貼り付け、デザインナイフで枠のモールドに沿ってカット後に余分なテープを剥がす方法を用います。

テープが透明で見えにくいので油性マジックなどで印をつけながら作業します。コクピット後部の防弾板&防弾ガラス(パーツ番号X3)も同時に塗装するためマスキングします。
あえてセロハンテープを使用するのは、塗装部分とマスキング部分がシャープになるためです。

枠のマスキングが終わるとパーツ内側をマスキングします。今回は縁をマスキングテープで囲い、その中をマスキングゾルで塗りつぶす方法で作業しました。

マスキング作業を終えるとブラックグレーでキャノピパーツをエアブラシ塗装します。これは実機のキャノピー枠内側がコックピット色で塗られているためです。
外側の塗装は機体を塗装するときに同時に行います。

機首オイルクーラー(パーツ番号H1)のエッチングパーツはメッシュ部で接着すると接着剤がモールドを潰してしまいますので、折り曲げた上部を利用しゼリー状瞬間接着剤で固定します。

主翼下面のラジエーターのエッチングパーツは接着剤ではなく、写真のように両面テープを利用すると楽に取付できます。

これらの作業を終えるといよいよ胴体、主翼を貼り合わせて全体の組み立てに入っていきます。

(2)胴体組み立て、各種ディテールアップ.2
キットの分割上、接着面に合わせ目ができてしまいますので写真の箇所にラッカーパテを盛り、乾燥後に余分なパテをサンドペーパーで削り落として仕上げを行います。なお後部胴体は実機にもパネルラインがありますので合わせ目はあえて残しておきます。

実機には、機首オイルクーラー、および主翼下面ラジエーターの空気取り入れ口には支柱があります。これを再現するために0.3mmのドリルで写真の三箇所に穴を空けて同径の真鍮線を通し接着、そして金属用ニッパーで余分な線を切断後、最終的にサンドペーパーで仕上げています。

また機首下面の先端にはオイル排出口があるので1mmのドリルで、穴を追加しています。


過給機空気取り入れ口は実機では溶接でパネルを繋がれています。
再現方法としてはプラ用接着剤を接着面に少し多めに塗り、接着の際に強めに押さえると、溶けたプラスチックがはみ出してきますのでちょうど溶接のような雰囲気になります。
その後に、先端のリング部だけは継ぎ目をサンドペーパーで消しておきます。
ループアンテナはエッチングパーツを使用。
一旦プラパーツのまま接着し、アンテナを切り飛ばして基部だけを残してエッチングパーツ用の穴を空け直します。
その後、エッチングのアンテナを基部の穴に通し瞬間接着剤で固定しています。

ブレーキパイプもエッチングパーツを使用。写真のように先端をタイヤ側に向かって曲げ、ブレーキパイプを脚カバー側に接着するのが正しい取り付け方です。

このパーツは2本の接着しろを利用し接着しますが、接着面積が少ないため、強力な弾性瞬間接着剤を利用した方がよいでしょう。

好みにもよりますが今回は脚支柱、ブレーキパイプ、脚カバーを塗装前にすべて接着しました。

(3)塗装
まず写真のパーツを全面ライトブルーで塗っていきます。
排気管パーツはこの段階ではまだ接着しないでおくと塗りわけが楽にできます。
※ここからは表記のない限りエアブラシで塗装しています。

ライトブルー塗装後はグレーバイオレットを塗装しますが、この工程からは迷彩境界の塗り分けやモットリング塗装(斑点迷彩)などを行うため、細吹きができる口径0.2mmダブルアクション式のエアブラシが最も望ましい。

塗料の濃度は通常の約2倍ほどに希釈し、エア圧も落とし、できるだけノズルを絞って塗装していきます。ノズルを絞るとニードル先端に塗料が固着しやすくなるのでこまめに溶剤で洗浄します。

グレーバイオレット塗装の境界は割とラフでもよいですが、グレーグリーン塗装で最終的な迷彩の境界が決まるので、シャープペンシルで塗りわけラインの下書きをしておきます。
シャープペンシルで書いた塗りわけラインの下書きは、次工程の塗装で見えなくなります。
グレーグリーン塗装を終えた状態。尾翼、アンテナ支柱などの塗り忘れに注意します。
機首下面はRLMイエローで塗装します。写真のようにマスキングテープでマスキングしますが、実際の塗り分け部分は曲面への馴染みをよくするため1mm幅ほどにカットしたテープを使います。塗り分け部分以外の精度は全く必要ありませんがテープ同士がきちんと密着しているかどうかには気をつけます。
オイルクーラー内部はライトブルーと思われるので、イエロー塗装後に再度マスキングし、ライトブルー塗装します。
胴体の識別帯ならびに主翼の翼下面先端のイエローはデカールがありますが、今回は機首の塗装のついでにこれらも塗装しました。塗装にした理由は機首との色味の違いが発生しないためです。

ただ、胴体識別帯はグレーバイオレットが塗装してあるため、そのままではイエローが上手く発色しません。そのためマスキング後に一度ライトブルーで塗装し直し、その上からイエローを塗装します。
イエロー塗装後、脚収納庫をRLMグレーで塗装します。タイヤ収納部の円はサークルカッターでカットしたテープを使用すると楽。RLMグレーで塗装できる部品はすべてこの工程で塗装しておきます。
タイヤは先にタイヤ本体を塗っておいて後からホイールを塗装すると、写真のように一枚マスキングテープをカットしておくだけで左右ホイール裏表合計4回のマスキング作業に流用することができます。
機首上面の機銃は筆で塗り分けるのも手ですが、紙の切れ端とマスキングテープを組み合わせることでマスキングも可能です。
プロペラスピナー先端のイエローは写真のようにマスキングすると楽。テープの切り出しは金属製のテンプレートを使用しています。
※円の直径は7.5mm
職人N、塗装が気に入らないといって、止めるのも聞かず塗りなおしてきました。

写真で見る限り実際のヘルムート機のモットリング塗装は非常に細かく、密度も濃いことが確認できたので一度モットリング塗装をライトブルーですべて塗りつぶして再塗装することに。もちろんこれまでのマスキングは一からやり直しです。

塗装を終えると数日間塗料を乾燥させてデカール貼りに備えておきます。

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※モットリング塗装(インクスポット)のコツ
まず、塗料をなるべく薄めること(あわせてリターダーを少し混ぜています)と、エア圧を低くし、細吹きします。

そして、インクスポットを一つずつ描くようにはせず、常に手を動かしながらフリーハンドで流れるように描いています。

あとは濃淡をポイント、ポイントに付けていきます。
インクスポットは淡いほうが映えるように思いますので、塗料を乗せすぎないように。

上記をふまえ、後はプラ板相手に試し吹きするのも重要です。
(4)デカール貼り
デカールはマーク一つ一つを切り抜いてから水につけます。
水に浮かべる必要はなく、台紙が水を含んだらすぐに引き上げます。
ティッシュの上にデカールを置いて、台紙表面が完全に水を吸うまで待ちます。
デカールはそのまま貼るだけでは完全に密着しないので、シルバリング(パーツ表面とデカールに隙間ができ、均一のツヤが出ない現象)を起こしやすくなります。この対策としてマークを貼る位置に前もってデカール軟化材を置いておきます。

デカールを爪楊枝等で台紙からすべらせて位置決めをします。この時点では、デカールは軟化材に浮いている状態なので位置の微調整は容易にできます。

この状態で数分放置し、デカールに軟化材が効いてくるのを待ちます。
次に余分な軟化材を綿棒で吸い取って、デカール表面に綿棒を転がすようにして内側の気泡を取り除きます。軟化材が効いているデカールは非常に破れやすいため力は入れずに、ソフトに作業します。
デカールが密着したらさらに表面に軟化材を塗布します。仕上げ工程のため、塗布後数十秒ですぐに軟化材を吸い取ります。
この上からデカールを押さえる必要はありません。

シルバリングを起こさず、綺麗に貼れたデカール。

バルケンクロイツは下に白十字、その上に黒十字を貼る必要がありますが、白十字マークを完全に乾燥させてから黒十字を貼らないとデカール軟化材が白十字を侵してしまうので注意が必要になります。

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上記の要領ですべてのデカールを貼り付けた状態です。小さな注意書きは数が膨大になるので、あえて省略して貼らなくてもいいかも知れません。

デカール貼り付け後、一日ほど乾燥させてからセミグロス(半つや消し)クリアーを吹き付けて全体をコートしておきます。

小物もこの段階で塗り分けを済ませて、ウェザリング塗装(汚し塗装)に備えておきます。
(5)ウェザリング、最終組み立て

排気汚れはフラットブラックを吹き付けて再現しますが、塗料は通常より薄めます。ブラックはすぐに色が付くため失敗しやすく、対策としてフラットクリアーを混ぜておくと色の乗りを調整がやりやすくなります。

修正が困難な工程のため、やりすぎに注意してください。あくまでほんのりと色を付けるようにします。

エナメル塗料のブラックとフラットブラウンを1:1で混ぜ、溶剤で薄めたものと、溶剤のみの2つの皿を用意します。(エナメル塗料の溶剤には油絵用のペトロールを使用)

パネルラインに沿って塗料を塗っていき、滲みを溶剤でぼかしていくという方法で作業することで微妙な色調の変化をつけることができます。

注意点として塗料の希釈を十分にすることと、エナメル塗料の溶剤には油絵用のペトロールを使用することです。


タイヤ部にはフラットアースを使用し、土汚れを再現する。


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作業前と作業後の比較。ウェザリング塗装により迫力が増しているのが確認できるでしょうか?

細部パーツの接着で完成となりますが、この段階でキャノピー接着に失敗すると修正が困難なため強力な弾性瞬間接着剤を使用します。

写真のように爪楊枝で少量すくって点付けするだけで強度は十分、逆に多量の接着剤を使用すると失敗の原因になりやすいので注意。

なお説明書の指示通り、プロペラの装着には接着剤は使用しません。

ディテールアップセットに付属するおまけの車輪止め。
実物の塗色は判然としませんが、他の機材の塗色から推測すると恐らくジャーマングレーかダークイエローと考えられます。
(6)完成
下記完成画像はクリックすると大きい画像を見ることができます
以上で今回の作成は終了です。次回のお題をお楽しみに!

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